東芝BTD：ニッサン向けAMP70 「ダイアンビル」２台目まだまだ穴広げ深くまで

ワークサイズ＝510×1330×450mm
図面　　　裏の図面
ワーク材質GFA 硬度HRC38前後
「ダイアンビル」穴加工続行です。
当初予想したとおり　歪みもそれなりに出てきているので
このまま歪ませて続行。
現段階で手前の大きな丸はφ268仕上がりに対して
φ258で進行中。　　一方　奥の一つはφ198仕上がりに
対してφ188で進行中で深さは全て200mmまで入っています。
ここで再び京セラマジックドリルφ50×4Dで
200mm段差からさらに120mm入れてみました。
しかし奥の一つは仕上がり径よりも愛機のクイル径の方が
大きいのでここでストップです。手前の３か所は後ほどクイルまで
入れて貫通します。

現状では深さの限界まで追い込んだ丸穴部は
ここで片側1mm残しで深さ150mmまで仮仕上げです。
深さ70mmまでをosgラジアスφ50-3刃-R6で。
V=129m/min  03mm/刃  3.0mm /周ヘリカル切削。
そして写真右は突如としてやってきた「コンロッド」
この加工は過去に数回行っていますが今回は
超ド級の「超ドデカイコンロッド」です。
しかも何時もは2個で1セットですがこれは単体で来ました。
今の段階で重量10トン。　どうする　これ？

ここでチョット話を逸らして。
上の写真は旧日本帝国海軍の零式艦上戦闘機。
いわゆる「ゼロ戦」です。
私が小学校時代から大事にしている写真です。
この名機にまつわる悲運な話は沢山有りますが
私はこの「ゼロ戦」に自分の加工人生を重ねて
考える事があります。
それはこの戦闘機がその誕生した時から持っている
「攻撃力」と「防御力」の相反性なところであります。
一旦、攻撃に転じた場合、この戦闘機は太平洋戦争中盤までは
無敵でした。それは他国の一線級の戦闘機に比べて
圧倒的な「航続距離」と「運動性」がもたらしたものですが、
その背景には当時の世界一練度の高いパイロット達が
揃っていたという事がありました。
しかし逆に守勢に転じるとその機体の防御力の無さが
さらけ出されるという一面もありました。
そうした背景には、当時の日本にはアメリカのような
2000馬力級エンジンの制作が困難であり、結果的に
故障の少ない軽量で小馬力（1000馬力級）のエンジンしか
機体に搭載出来なかった為、そうしても防弾装備を無視するしか
無かったという事がありました。
私の加工も彼と同じで一旦攻勢に出ればトントン拍子で
進むのですが、何か壁にぶつかるとそこで止まってしまう。
これを何とか出来ないものかと、この「ゼロ戦」を見るたびに
思います。
しかし我が人生の師「坂井三郎」はこの「ゼロ戦」で戦い抜いて
最後まで負けなかったのだから私も師匠のように頑張りたい。
今日は　ふと　そんな事を考えた一日でした。
それにしても　何という美しい機体でしょう。
そしてロングアーバーで
もう少し深くまで径2.0mm残し。
ここまでに費やした加工時間
は　約４６時間。
小さな加工品ならもう完了して
いるだろうけど
この「ダイアンビル」では
まだ荒加工前半なのです。
まだ始まったばかりです。