よくやった！男子体操団体、意地で取った逆転の銀メダル

　男子体操団体総合で日本は、強大な力を誇る王者・中国に歯は立たなかったが、アテネ大会覇者の意地を見せて銀メダルを獲得した。
先にミスなく演技して、中国にプレッシャーをかけたかった。だが、勝負どころで作戦にほころびが出た。跳馬では２人が着地でラインオーバーする失敗で、４種目終了時点で中国には５点以上の差を付けられ、この時点で連覇は厳しくなった。しかも、米国が日本より３点以上も上回り、後続にも迫られていた。
最終種目を残して２位の米国とは１・７点差。鉄棒で失敗すればメダルも危ない状況。だが、中瀬卓也（徳洲会ク）、内村航平（日体大）、そしてエースの冨田洋之（セントラルスポーツ）が着実に演技をまとめ、米国を逆転した。
エースの冨田の落ち着いたリーダーシップ、１９歳の内村の躍動感あふれる演技など、選手６人全員で守った体操ニッポンの誇り。すべての順位が決まった瞬間、冨田はチームメート全員に握手を求めた。そこにあったのはホッとした笑顔。連覇はならなかったが、価値ある銀メダルを手にすることが出来た満足感だった。（メディア戦略局編集部・上堀慶）
　　　　　　　（2008年8月12日14時23分  読売新聞）
という事で今回の体操日本は銀メダルでしたが、
私なりに見れば、やはり「ある部分で中国は日本を圧倒していた」
と思います。
特に吊り輪と鞍馬での双方の筋力の差がモノを言ったと
思います。
鞍馬と言う種目はポメル（握り部）での旋回よりも馬端での旋回に
おける腰の高さを如何にして維持するか　という事が
演技の美しさに顕れる。
これは体機械操を経験された方なら誰しもが感じている
事ですが、リーチの長さが人種的特徴を背景にしている場合が
多く、その意味ではアジアの選手に鞍馬のスペシャリストが
少ないという事でも解ります。
そして骨格的不利を補うのが筋力という事になりますが、
今回　その差が出たかな？というのが私の感想です。
また、吊り輪にしても同じで、
例えば十字懸垂からの力技に移行して伸椀倒立へ持っていく
時の流れや前方車輪から倒立を経て、そのまま上水平
そしてそこから下水平　十字懸垂などへの流れ技は
筋力の差が歴然と顕れるものです。
この点でも中国の選手達は日本を上回っていたように
思います。
しかし鉄棒では日本のお家芸と言われるだけあって
見事な演技を見せてくれました。
かつての黄金時代と呼ばれた五輪4大会
（東京　メキシコ　ミュンヘン　モントリオール）
連続団体金メダルを獲得した時代を思えば　
やや寂しい思いがありますが、永遠に栄えるモノは無い。
モスクワ大会での西側諸国ボイコットが一つのネックに
なったとは思いますが、しかし体操日本は
その次のロサンゼルス大会では
森末慎二が鉄棒演技で後方抱え込み３回宙返りで
種目別鉄棒金メダルを、そして日本のエース具志堅幸司は
種目別吊り輪で金、個人総合でも金という結果を残しました。
その他にも延べ５個のメダルを獲得し、団体では銅メダルを
獲得しました。
その後は指導者不足や選手強化資金の不足から
日本体操の低迷期に入って行きましたが、
ここ数回の五輪では　再び「体操ニッポン」が
復活する兆しを見せています。
前回のアテネ大会では日本彼岸の体操男子団体総合優勝を
鹿島丈博・水鳥寿思・中野大輔・冨田洋之・塚原直也・米田功
のメンバーで獲得しました。
今回の団体戦は銀メダルに終わりましたが、まだ種目別が残っていますし
個人総合もあります。　最後まで諦めず、頑張って欲しいです。
そして次のロンドン大会では是非とも日の丸を一番高い所に
掲げて欲しいものであります。
ガンバレ　体操ニッポン。