母屋の玄関柱補修

 

我が家の母屋と婆ちゃんの家、そして庭。
その他いくつかの改修工事が全て完了しました。

こちらの玄関柱の補修がその最後の工事となりました。
玄関柱はその家の顔とでも言いますか、
まぁ、鳥居でもありますし。
この下を通って家に出入りするわけですから格式も
あります。
そんな玄関柱ですが築30有余年ともなるとさすがに風雨に
晒され腐りが進行していました。
特に下の方は断面積の30％以上が腐っていました。

この補修の依頼をした当初、私は業者さんにこのような提案をしました。

先ず鳥居をジャッキアップして支え、腐った部分をカットし
そこへ新たな部材を入れるという手法が良いのではないかと。

残った上の部分の下端と新たな部材の上端、つまり合端部に
共通したスペースを設け、そこに腐敗に強い素材の丸棒を入れる
いわゆる「ノックピン方式」で部材のズレを防止し、
始末は今回業者が行ったように銅板巻きもしくは美観の良い形が
好ましいと言った内容です。

ノックピンを挿入する方法としては新たな部材の上端には
挿入するピン径より数ミリ大きめの穴をあけ、残った部材の下端
には横からピンが挿入できるように側面に切り欠けを加工すれば
業者さんの危惧する「構造を壊す」ほど持ち上げる必要は無く、
むしろその高さを維持するだけのジャッキアップで済みます。
そしてピンを挿入後にその切り欠け部分を樹脂で補修すれば良い
のではないかという事です。
銅板よりも格好良いものが有れば尚良いのですが。

しかし、業者さんとしては
「鳥居を上に持ち上げると構造自体を壊してしまう恐れが
　あるのでそれは危険。
　傷んだ所を少し大きめに削り取りそこにエポキシ系樹脂を
　塗り込んで銅板巻きにします」
という返事でした。
プロとしては経験値を有する確実な方法しか選択する余地が
無かったのでしょうし、長年金型を製作してきた私との意見の
相違かな？それとも深く理解が出来なかったのかな？

でも業者さんにしてみればお金をもらって行う工事なので
それが最善の選択でもあったのかなと思います。

まぁ、結果的にプロに任せて今回のようにして頂いた訳ですが、
私も仕事でエポキシ系樹脂は何度も使用しています。
その経験上、幾つかの疑問が有ります。
一つはその樹脂と樹木の密着性はどうか？という事。
樹脂も樹木も膨張伸縮を繰り返しますのでその偏差が
一定以上大きい場合には剥離という現象が起きないのか？
もう一つはエポキシ系樹脂で強度的に大丈夫か？
という事です。

銅板が錆びて風合いが出てくれば今とはまた違った見え方を
しますし、しかし有毒物質でもあるのでそれはどうかな？
という想いもしますがその答えはこの先何年も後になります。

めんどくさいので　まぁ、これで良しとするかぁ。