五面加工機：SUS310S 板モノ加工

MC工場では初となる
SUS310Sの加工です。
なにやら熱処理炉の床に
並べられるプレートとか
言っていましたが、
加工品位は然程厳しくない、
というか　ちゃんと加工
できていれば良い　らしい。
しかし問題はこの耐熱合金が上手く削れるか？という事。
私自身初めての遭遇です。　最初は探りから入ります。
ワークサイズ：t=80  1800  1210
材質：SUS310S

先ずはΦ53貫通穴から。
京セラマジックドリルΦ50×4D  チップPR830にて
V=140m/min  0.07mm/rev  これは全く問題無く完了。
しかし切削音はやはり重いですね。抵抗もかなり上がりました。
ヒートクラックを避けてドライで加工するか、或いは
ウエットで切り屑の溶着を防いで条件を探すか、
どうしようか？
次に 三菱ラジアスΦ32-3刃-R5で穴広げ。
V=135m/min で加工した結果、写真左下のように
穴内面には切り屑がコビリ付いてしまいました。
これは周速不足と切り屑の離れが悪いからだろうか？

まぁ、いっかい　一気に条件上げてみよう。
という事で、V=150m/min でウエット加工をしたら
まぁまぁ綺麗になりましたね。
周速不足はやはりダメなんですね。
ではどれ位で回せば良いのか？
多分、V=150m/min前後だろう
けどよく解らない。
まだ様子を見なければ
解りませんね。


溝加工に入りカッターのチョイスに少々悩んで、
とりあえず 京セラMRPラジアスΦ80-6刃-R6をぶつけて
みました。チップはPR730。
初めはV=150m/min  0.22mm/刃  2.2mm切り込み
でスタートしましたが、ニッケルの溶着が激しく、
境界磨耗も大きく発生した為、周速をV=165m/minに
上げてみたところ、溶着に関しては　やや改善の兆しが
見られましたが境界磨耗は逆に増大した。
（上げすぎか？）
しかし耐久時間は約10分～15分に伸びました。
この条件のまま数回のチップ交換をしながら深さ22mm
まで進めました。
次いで、 三菱BRPラジアスΦ80-6刃-R6に変更。
チップは守備範囲の広いVP15TFです。
今度はV=155m/min  0.22mm/刃  2.2mm切り込み
で加工しましたが、これが見事に応えてくれました。
流石は三菱です。耐久時間は約20分。
よし、三菱でいこう。
実感としては溶着さえ無くなればもう少し周速を
上げたいところですが、チップの損傷が激しくなるので
この辺が充て所かな？

溝仕上げは側面は OSGポジミルΦ50で２度仕上げ。
V=150m/min  0.11mm/刃  落し込み10mm　削り代0.35mm
ウエットで加工しましたが壁面に切り屑がヘバリ着く為、
同じプログラムを２度流して加工しました。
底面は0.5mm残りを 京セラMECΦ40で仕上げました。
V=140m/min  0.1mm/刃。
淵の30mm面下げ部は
ワークのクランプ個所をすらして
加工です。
ここも京セラMRPラジアスΦ80
で加工です。
こうして一通り加工は終わり、
基本的な条件も上側は
掴めました。
問題はチップの消耗と切削量のバランスをどう取るかです。